荒木肛門科(旧荒木産婦人科肛門科) 大阪府堺市堺区
肛門外科・肛門内科・外科・消化器内科・腹部超音波検査・大腸内視鏡検査

健康保険取扱い TEL:072-223-7959
肛門周囲膿瘍、痔瘻、痔核のことなら荒木肛門科。

FLOW OF OPERATIONS

当院での肛門外科手術の流れ

当院における日帰り肛門外科手術の術前、術中、術後の大まかな流れについてまとめましたので、参考にしてください。ジオン注射(ALTA)も手術ですので同じ流れです。これは当院で手術を受けられる方への情報提供であり、当院の宣伝や特色などではありません。
これは予定手術の場合です。肛門周囲膿瘍切開排膿などの緊急手術は別です。
当院は無床診療所ですので、日帰り手術しかできません。入院をご希望の方、もしくは入院や全身麻酔が必要な手術は当院ではできませんので、病院へ紹介となります。

1.外来診察。
まず、外来を受診していただき、問診、そして肛門診察をします。その上で手術適応があるかどうか、どのような手術法があるかなどを説明します。痔瘻は原則手術適応、痔核はGoliger分類3度以上が一般的な手術適応ですが、基本的に肛門疾患は良性疾患ですので、手術するかどうかは最終的には患者様の希望によります。また、手術適応があっても、しばらく経過を診たり、保存的治療を行なった上で、手術するかどうか決めることもあります。
2.手術日の決定、予約。
当院は原則手術日は毎週木曜日の午前中にしています。この日は外来は行わず、手術や内視鏡検査用の時間帯として開けています。仙骨麻酔下の手術は基本的に木曜日にしています。どうしても木曜日が仕事の都合つかないので他の曜日を希望される方は、局所麻酔の手術の限り他の曜日や時間帯に外来を一時ストップして行う場合もありますが、あまりおすすめしません。仕事を休む都合をつけて、木曜日に受けていただくようにお願いします。また、外来時に仕事の都合がわからない場合は、後日電話で日時の予約を取ることもできます。女性の方は生理中でも手術は可能ですかと聞かれますが、基本的には可能です。しかし、生理と術後のしんどさが重なり、少ししんどい面はあります。
3.術前検査、説明。
初診時に手術が決まった場合は、その際にすることもありますが、それ以外の場合は手術までに術前検査、説明に来ていただくことになります。採血結果が出るのに時間がかかりますし、術前中止薬剤などもあるので手術の前の週までにはお越しください。また、内服薬のある方(特に抗血栓薬)はお薬の情報(お薬手帳など)を持ってきてください。また持病やアレルギーなどについてもおしらせください。
術前診察は聴診、血圧脈拍測定、身長体重測定、尿一般検査、血液検査(血液学的検査、生化学検査、止血凝固系、感染症検査)、12誘導心電図検査(心電図は仙骨麻酔手術の時だけ)をおこないます。血液検査の結果は当日すぐには出ませんので、後日手術日に結果をお渡ししています。手術中止に関わる異常がある場合は電話で連絡いたします。
また、手術について説明して、「説明同意書」をお渡ししますので、これは手術当日にお名前、生年月日、住所等を記載して、持ってきてください。代諾者氏名の欄は記載しなくても構いません(未成年の方や認知症の方のみ必要です)。ご質問などありましたら、遠慮なくお尋ねください。手術費用に関しては、このホームページの「手術料金の目安」にも書いてあります。
また、手術当日朝に使用する下剤の坐薬(レシカルボン坐薬)をお渡ししますので、これは手術日まで冷蔵庫に保管しておいてください。
4.麻酔法。
当院の日帰り手術で行う麻酔法には仙骨麻酔(仙骨硬膜外麻酔)と局所麻酔の2通りがあります。どちらの方法でするかは術式によって医師が決めますので、患者様が選択することはありませんが、一般的に少し大きめの時間がかかりそうな手術は仙骨麻酔で、短時間で終わりそうな手術は局所麻酔ですることが多いです。いずれも、広い意味での局所麻酔ですので、手術中は意識はありますので、眠っているわけではありません。また、いずれもキシロカイン(リドカイン)を使用しますので、キシロカインアレルギーのある方(歯科治療麻酔でアレルギーを起こしたなど)は当院では手術はできません。
仙骨麻酔とは仙骨(尾骨の上にある骨盤の骨)の隙間(仙骨裂孔)から麻酔の注射をして、肛門を支配する神経をブロックして、鎮痛や肛門括約筋弛緩を得る方法です。肛門科日帰り手術では最もよく使われている麻酔と言えるでしょう。稀に局所麻酔アレルギーや局所麻酔中毒で血圧低下や徐脈を起こすことがあるので、当院では仙骨麻酔手術の際は点滴をとらせていただいています。似た麻酔法として腰椎麻酔(脊椎麻酔)がありますが、これは下半身が完全麻痺して数時間歩けなくなるので、入院が必要ですが、仙骨麻酔は歩けるので日帰り手術が可能です。
(狭義の)局所麻酔。これはリドカインを直接肛門に注射する方法です。これにも2通りの方法があって、肛門括約筋弛緩を得たい場合は、内外肛門括約筋間にリドカインを肛門全周性に8ヶ所程度注射します。筋弛緩があまり必要ない場合は、手術でメスを加えるところだけにリドカインで局所浸潤麻酔を行います。実際には内外肛門括約筋間麻酔と局所浸潤麻酔を組み合わせて行なっていることが多いです。
5.キャンセルについて。
手術予約をしたが、予定が入ったので日時を変更したい。もしくは、気が変わったので手術をキャンセルしたいなどの場合はお早めに電話で連絡してください。直前に言われると変わりに他の患者様の手術予約を入れるのも困難になりますので、お早めに連絡してください。体調不良や高熱が出たなどの場合もキャンセルや延期の連絡をしてください。しかし、当日朝8時30分以降のキャンセルは準備した手術材料等を廃棄することになりますので、必ずそれ以前に連絡してください。
6.手術前日までと手術当日朝について。
手術前日夜までは、特に食事制限はありません。内服薬もこちらが事前に中止を指示した抗血栓薬以外は継続してください。もちろん前日の暴飲暴食や過労は避けてください。手術当日は仕事や学校は休んでください。手術後午後から仕事をするのは無理です。手術当日の朝食は中止してください。食事をとったら絶対手術ができないわけではないですが、仙骨麻酔時の気分不良による嘔気嘔吐などを防ぐためです。水分摂取はむしろしてください。水、お茶、ジュースなどは飲んでください。また内服薬は高血圧の薬など原則継続してください。しかし、こちらが指示した抗血栓薬は中止してください。また絶食で低血糖を起こしますので、糖尿病の薬も中止してください。朝起きたら、事前にお渡ししたレシカルボン坐薬2個を1個ずつ続けて肛門に入れてください。これは炭酸ガスを発生して刺激で便を出す下剤ですので、すぐにトイレに行かずに10分くらい我慢してから、排便してください。当日来院する際は、自分で自動車やバイク、自転車を運転して来院しないでください。これは、術後麻酔で足が痺れることもあり、肛門の痛みもあるので、帰宅時に運転して事故を起こす危険性があるからです。公共交通機関やタクシー、もしくはご家族に送ってもらってください。
7.来院してから麻酔と手術の流れ。
来院されましたら、受付に診察券と説明同意書をお渡しください。前回受診日と月が変わった場合は保険証も確認させていただきます。また、指輪、ネックレス、ピアスなど金属類は、電気メスを使うとき感電しますので外してください。準備ができましたら、手術室にご案内します。ご家族様は待合室でお待ちください。しかし、2例目の手術の場合は、1例目の手術が終わってからになりますので、開始時刻が予定より遅くなることもありますのでご了承ください。手術の際は下着を脱いで、下半身は裸になっていただきます。手術ベッドにうつ伏せ(腹臥位またはジャックナイフ体位と言います)に寝てもらいます。血圧計や酸素飽和度計、心電図などのモニターをつけます。仙骨麻酔の時は点滴をとります。これはラクテックという単なる水の点滴ですが、血圧低下時の補液や、異変が起きた時の緊急薬剤を投与するルートを確保するのが目的です。仙骨麻酔の際は、まず体表から骨盤の骨を触って、仙骨裂孔の位置を確認します。次に皮膚の局所麻酔をしてから、仙骨裂孔の穿刺をします。仙骨裂孔の狭さは人それぞれですので、すぐに針が入る人もいれば、なかなか針が入らず時間がかかることもあります。仙骨裂孔に針が入ったことが確認できれば、リドカイン(キシロカイン)を注入します。稀にアレルギーや中毒を起こす人もいるので、まず少量注入(test dose)して、異変がないことを確認して数分後に全量投与します。なお、仙骨麻酔は効果が出るまで10分から15分かかりますので、すぐに麻酔は効きません。両側の臀部を粘着テープで引っ張り、術野の剃毛や消毒など準備をします。電気メスを使うときは背中に対極板という電気を逃すシールを貼ります。 局所麻酔の手術の時は点滴はとりませんが、ジオン注射の時は点滴をとることが多いです。同じく、血圧計や酸素飽和度計などのモニターをつけます。麻酔の前に、両側の臀部を粘着テープで引っ張り、術野の剃毛や消毒など準備をします。それから、局所麻酔の注射を行なって手術を開始します。手術時間は術式や処理する病変の個数により異なります。当院の院長は、大腸肛門病学会肛門領域指導医、臨床肛門病学会技能指導医ですから肛門手術経験は豊富ですが、丁寧確実をモットーとしていますので、手術時間がすごく早いわけではありません。平均的な手術時間です。うつ伏せでしんどいと思いますが、頑張ってください。また顔や手の向きは時々変えていただいて結構です。麻酔の効きが不十分で痛みがあるときは、局所麻酔を追加しますので痛いときは言ってください。
8.手術終了から帰宅まで。
おつかれさまでした。手術が終わったら、消毒液や血液などを拭き取り、創部にガーゼを当てて、起き上がってもらいます。仙骨麻酔の影響で足に力が入りにくいこともありますので転倒に注意してください。看護師や医師が介助します。下着をはいてから、病室へ移動し、しばらくベッドで休憩していただきます。体の向きは楽な姿勢でかまいません。点滴を抜去します。麻酔が完全に切れて問題なく歩行ができるようになるまで、約1-2時間休憩していただきます。またトイレ行きたいときは介助しますので呼んでください。ただし、仙骨麻酔の影響で膀胱に行く神経が痺れて尿意があっても尿が出ないこともありますが、夕方には必ず改善しますので心配ありません。もう一度、肛門の傷を観察して出血していないことを確認します。その後、医師より本日行った手術の内容、術後の注意事項、次回の来院などを説明します。術前採血結果もこの時にお渡ししています。術後の注意を書いた紙をお渡ししますので、よくお読みください。基本的には手術翌日に再診していただいています(予約制ではありませんので都合つく日で構いません)。その後、清算(現金のみ、カード不可)とお薬をお渡しして帰宅となります。タクシーが必要な方はお呼びしますので受付に申し出てください。 なお、この術後の休憩は、日帰り入院扱いはできません(入院料、短期滞在手術等基本料等の費用は頂いておりません)。
9.帰宅後。
帰宅後はご自宅で安静にしてください。術後の注意事項は術式によって若干異なりますので、帰宅前の説明やお渡しした手術後の注意書きに従ってください。内服薬は指示通りに飲んでください。痛みは個人差がありますが、痛み止め(ロキソプロフェン)を内服してください。原則は1日3回程度ですが、痛みが我慢できないときは多少回数が増えても構いません。痛みが我慢できない方には翌日再診時にカロナールを追加処方します。手術当日から翌朝までに最も注意すべきことは術後出血です。肛門手術の傷は原則開放創なので、ガーゼに少し血がつく程度は正常範囲ですが、大量出血がとまらない時は電話して受診してください。手術を受けられた患者様には院長の携帯電話番号をお伝えして、夜間休日でもつながるようにしています。もしすぐにつながらなくても折り返し電話します。出来るだけ当院で止血術をしますが、どうしても対応できないときは、近隣の救急病院に対応をお願いする場合や、救急車を呼んでいただく場合もありますので、そのようなリスクも承知の上で当院の日帰り手術をお受けください。