HPV vaccine for men
男性に対するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン予防接種(自費)
荒木肛門科では男性(特にLGBTの方)へのHPVワクチン予防接種をお勧めしています(任意接種、自費)。
1回14000円(接種料予診料含む総額、税込)×3回=合計42000円(税込)
子宮頸がんワクチンを何で男性に打つの?と思われるかもしれません。子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)予防接種は定期接種になり、広く行われています。しかし、子宮頸がんワクチンという名称は不正確で、正確には目的とするウイルスの名前ではHPVワクチンです。HPV感染で起こる代表的で頻度が高く致命的な病気が子宮頸がんということです。HPVには100以上の型があり、子宮頸がんや肛門扁平上皮癌を起こすハイリスク型の大多数がHPV16型と18型です。この2価ワクチンがサーバリックスです。一方、ローリスク型のHPV6型と11型は癌化はしませんが、尖圭コンジローマという肛門や性器の疣贅(イボ)を多数作る厄介な病気を起こします。HPV16型、18型にHPV6型、11型を加えた4価ワクチンがガーダシルです。さらにハイリスク型のHPV31型、33型、45型、52型、58型を加えた9価ワクチンがシルガード9です。
4価ワクチン、9価ワクチンは尖圭コンジローマの予防接種にもなります。
私は、肛門科医として多くの肛門尖圭コンジローマの患者様の診療、手術をしてきました。肛門外の尖形コンジローマはイミキモド(ベセルナクリーム)という塗り薬が効くことありますが、効かない人は手術(外科切除)が必要です。肛門管内、直腸の尖圭コンジローマはイミキモドは使えませんから、手術が必要です。しかし、この尖圭コンジローマの手術は正直言ってあまりやりたい手術ではありません。
まず、手術しても20-30%近い人は再発して、再手術が必要となります。術後出血することもあります。また肛門管直腸の全周性のコンジローマを切除すると、術後の肛門狭窄は必発で、患者さんは後遺症に苦しみます。
医療者側としてもウイルスの院内感染予防(プリコーション)に大変気を使いますし、手術の点数も1250点と安く、苦労や手間コストに対して全く割に合わない手術です。
肛門尖圭コンジローマで苦しむ患者さんをなんとか無くしたい。これは私の肛門科医としての臨床経験からの切実な思いです。それを解決してくれる有効な方法が、HPV6型、11型を含む4価と9価のHPVワクチンです。尖圭コンジローマだけでなく、中咽頭癌や肛門扁平上皮癌の予防にもなります。
私の経験上も、医学の文献上も、肛門尖圭コンジローマの患者様の少なくない方はLGBT(男性同性愛者)で肛門性交をされていました。男性同性愛はごく普通のことで、現代社会ではLGBTの人権を守ることは当然となりました。しかし、その界隈に起こる病気の予防をすることは必要です。
男性同性愛者の皆様、肛門性交するときはコンドームを使ってください。そして、自費で約4-5万円かかりますが、4価のHPVワクチン(ガーダシル)をぜひ受けてください。9価ワクチン(シルガード9)は添付文書上、男性に適応がないため、副反応が起きた時の予防接種健康被害救済制度が適応されず、男性には接種できません。
HPVウイルスにすでに感染してしまってからワクチンを打っても効果はありませんから、26歳までの若い男性で自分がLGBTだと思う人は勇気を出して打ちましょう。
インターネットで調べると、東京都や関東地方などの自治体では男性のHPVワクチンも公費助成で女性同様に無料で受けれられるんですね。関西の自治体でも早く男性も無料になるといいですね(奈良県天理市は助成あり)。
HPVワクチンは0,2,6か月の3回接種が必要です。
1回14000円(税込)×3回=合計42000円(税込)
ぜひ電話でお問い合わせ、ご予約ください。
1.HPVワクチンは子宮頸がんだけでなく、尖圭コンジローマ、肛門扁平上皮癌、中咽頭癌などの予防になること。
2.HPVワクチンは男性も接種するメリットがあること。
3.「子宮頸がん予防ワクチン」という名称は上記の点から医学的に間違いであり、HPVワクチンと呼ぶべきであること。
4.東京都では、HPVワクチンの男性への接種が公費助成で無償で行われているのに対して、大阪府では、いまだに「子宮頸がん予防ワクチン」と呼ばれ、男性も接種すべきとの認識も少なく、公費助成もないこと。